まるでシャボン日記

アラフィフぼっち女の悲喜こもごも

映画「窮鼠はチーズの夢を見る」で、腐女子おばさんは目が醒めた

ずっと気になっていたけど、なかなか見れていなかった映画「窮鼠はチーズの夢を見る」をAmazon primeで観た。

www.phantom-film.com

 

いやー・・・大倉忠義さん、成田凌さんのなんという美しさ!

腐女子おばさんは震えた。あ、いや、萌えた。

 

ところで、私の時代には、「萌え」とか「腐女子」とか「BL」といった言葉はなく、こういった作品は単に、美少年もの、とか、ホモセクシャルもの、みたいに呼ばれていたと思う。

 

少女漫画のジャンルには昔からあって、萩尾望都先生の「トーマの心臓」とか「ポーの一族」、竹宮恵子先生の「風と木の詩」なんかが代表的だ。

もちろん、男女の恋愛マンガの方が主流で、ホモセクシャルマンガはごく一部の漫画家の先生が描いていた。

まさか今のように普通の書店にBL棚ができるなんて思ってもみなかった。

 

この「窮鼠はチーズの夢を見る」は、「失恋ショコラティエ」などで有名な水城せとな先生の原作で、レディースコミックとして描かれた男性同士の恋愛ものだ。

 時代は変わったし、表現もかなりリアルにはなっているけれど、やっぱり耽美な世界であることや、女性嫌悪的なところなど、少女漫画のジャンルとして伝統的なものがあると感じた。

 

どうして、女子は、BLを愛するのか?

 

一つは、生々しくないからだろう。

男女の恋愛は、当たり前だが現実に近く、結局は結婚とか生活とかにつながっていく。

けれど、男性同士の恋愛は、どんなに濃厚な関係であっても、妊娠や出産、結婚すら関係がなく、恋愛そのものが描かれる。

さらに、世間からの理解のなさ、本人たち同士の障害(片方はノンケ)もあって、ドラマチックでもある。

その世界はファンタジー。美しく、観るものを酔わせてくれる。

 

もう一つは、女性嫌悪的であること。

少女は、大人の女への嫌悪感を持っている(と私は思う)。

私なんぞは、女なんて嫌だなー、と思っていたたちである。

男に愛されたいと思いながらも、なんで男に愛されないといけないんだろうと思っていたし、男に愛される女が一番幸せで独りもんの女はなんでオールドミスとか言われちゃうんだろうと思っていた。

男の夢は、冒険王とか天下取るとかなのに、なんで女の夢は、男に愛されて幸せな結婚することなわけ〜?と。

「窮鼠〜」に登場する女性たちも、みんな主人公の恭一と「結婚」することを目的にしているように描かれている。

結局は、「本当に好きなら結婚して」が、男女関係のとどのつまりになってしまう。

そんな男女関係に背を向けることに、女の嫌いな少女たちは共感するのだろう。

 

「窮鼠〜」はしかし、レディースコミックで大人向けなので、もう少しシビアな内容。

男同士がお互いのことを純粋に思い合い理解し合うというより、お互いのエゴをぶつけ合うような恋愛だ。体の欲望も含めて。

 

実は、映画と原作マンガのラストシーンは違うのだが、どちらも、主人公・恭一の覚悟のようなものを感じるラストとなっている。

恋愛、欲望、男であること、ゲイではない自分、男を愛すること、それらの矛盾していて同時にあることを引き受ける覚悟。

 

水城せとな先生はいつも、そういうあざと汚いけど、それに自覚的な、それを覚悟して引き受ける人を描いているとこが、かっこいいな、と思う。

 

腐女子おばさんとしても、ファンタジーにあんまり逃げ込まずに、自分の人生に向き合わないとなー、と目が醒めた作品だった。

 

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いちごの飲み物ってデートっぽい(古い?笑)

 

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