まるでシャボン日記

アラフィフぼっち女の悲喜こもごも

フェイクスピア、もう死にたい、なんて言わないよ、絶対。

演劇を観るようになった。

多分、コロナのせいだ。

ステイホームやテレワークでどんどんバーチャルになっている人生を、その時を体験できる演劇で取り戻そうとしているのかもしれない。

 

そして、ものすごい熱狂の中にある芝居を観た。

野田地図「フェイクスピア」。

www.nodamap.com

 

野田秀樹さんの舞台は、深津絵里さんが出演していた「キル」(調べたら1997年上演)以来だった。

実は、その時は、あんまりピンとこなかったのだった。

難解過ぎて、正直、何が何だかわからなかった。

ただ、野田秀樹さんが小猿のように舞台を縦横無尽に飛び跳ねていたのがすごかった、という記憶だけがある。

 

だから苦手意識はあったのだけど、今回の舞台は、私にもちゃんとわかったし、難解過ぎなかったし、すごく単純に、シンプルに、感動したのだった。

 

ネタバレしてしまうと良くない類のお芝居だったので、ストーリーなどは書かないでおきたいと思う。

けれど、私はこのお芝居を観て、「死にたい」なんてもう言えないかもしれない、と思った。

どんなに虚しい人生であっても、「死にたい」なんてもう言えない、と。

そういう風に、説得されてしまった。

そういうお芝居だった。

 

そして、20年の年月を経ても、やっぱり野田秀樹さんは小猿のように飛び跳ねていた。

もう60歳を過ぎていらっしゃるとはとても思えなかった。

それをいえば、橋爪功さんなんて、80歳!

まったく衰えなんて感じさせない演技だった。

白石加代子さんはおばあさん役が昔からはまっているけど、79歳って・・・あの声量とキレの良さ。信じられない。

 

そう、野田さんの舞台は、役者さんたちがものすごくキレがいい。

ものすごく力が入っていて、元気が良くて、生き生きしているのだ。

全力でやっているのだ。

観ているだけで圧倒される。元気になる。

人が必死なのを見るだけで、活力になるんだと思わされる。

 

高橋一生さんも、前田敦子さんも、ものすごく全力だった。

声をはり、駆け回る。

こんなに舞台というのは、全身全霊なのか、というくらいに、全身から生きるということの必死さが溢れていた。

 

それから、舞台や衣装も素晴らしかった!

舞台って、四角い空間でしかないから、限りのある中で、どれだけ豊かな表情を見せるか、なんだな、と思った。

こちらもまた、多彩な場面展開で、くるくると表情が変わる。

舞台も衣装も元気が良いのだった。

 

しっかり生きないと。

アラフィフで、独身で、子どももなく。

これからの人生には何もない、なんて嘆き暮らす自分が情けなくなった。

動かないと。動きまくらないと。

生きているのが素晴らしい、なんて言ってるわけじゃなく、ただ、生きてるって、すごい!

そんな風に思わされるお芝居だった。

 

あ、もちろん、野田秀樹さんらしい、「言葉」「メタフィクション」「メタ言語」の考察もあって、それはまた、びっくりする展開の中で、ハッとさせられる。

 

会場は、池袋ウェストゲートパークの東京芸術劇場

 

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東京芸術劇場

 

池袋もすっかりキレイになっちゃって。

 

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