世の中には恋愛論とか結婚論が溢れている。youtubeにも、ブログにも。
例えば・・・
「アラフォーですが、どうしても年収600万円以上の男性と結婚したいです」
といった相談に、わりと成功した男性が、
「無理なので諦めてください。自分の市場価値を知ってください」
といったアドバイスをする。最近よく見かけるQ&Aだ。
女性の価値は若さにあり、年齢とともにそれは失われていく。
そして、男性の価値は、安定した職業とその年収である。
世界はそうなっているらしい。
そうなのか? そうなの? 本当に?
と常日頃モヤモヤしていたけど、この映画でスカッとした。
沖田修一監督『子供はわかってあげない』
上白石萌歌さん主演の青春映画。
もうね、夏の全てが詰まった映画。
なんだか冴えなかった今年の夏が、この映画のおかげで、少し鮮やかになったような気がした。
(以下、少しネタバレ含みます)
上白石萌歌さん演じる主人公の女子高生は、真剣になるとなぜか笑ってしまう女の子。
ある夏の日に、突然彼女は、生き別れの父に会いに行くことにする。
今の家庭にはお母さんと、新しいお父さんと弟がいて、それはそれで幸せに暮らしている。
けれど、やっぱり実のお父さんに会いたかったのかな?
会いたいかどうかもよくわからず、彼女は会いに行くことにする。
お母さんにも今の家族にも、なんとなく言えなくて、こっそり、会いにいく。
手伝ってくれるのは、気の合う同級生の男の子。
彼女の願いを叶えようと頑張ってくれたり、大丈夫かな?と心配してくれたり。
それはそれは自然に、友達(ちょっと好きな女の子?)を助けてくれる。
ところで彼女は、初めて会った父親にすんなり馴染んでしまう。
なんとその父、新興宗教の元教祖で、「見えちゃう」人だというのに。
「見えちゃうとか言ってて、なんかかわいそう」とかと言い、アハハと笑っちゃいながらも、自然に仲良くなっていく。
悪い人は誰もいないし、騙したり騙されたりもない。
恨みとかつらみとかもない。
思えば、何も起こらない映画だ。
だけど、いつも真剣になると笑ってしまっていた彼女は、その夏の終わりに・・・
という話だ。
おとぎ話のようかもしれない。
当たり前のように、誰もがみんな優しく、お互いに思いやっている。
誰がどんな価値があって、なんの役に立つのか、とか、一体、そんなこと考えたこともないような人たち。
あれ? こんな世界は、やっぱりおとぎ話なんじゃないか。
そう、彼女は魔法少女の熱心なファンだ。
そして、実父もこの世のものじゃないものと交信してしまう魔法使いだ。
やっぱりこの映画の世界は、魔法にかかった世界で、おとぎ話なんだろうな。
でもさ、でもね。
私は、この映画の世界が好きだった。
たとえその世界が本当にはあろうがなかろうが、その世界が好きだった。
それは、私の自由だよね、と、ただそう思った。
そうだ、私も、私だって、大人のことなんて、わかってあげないんだ。
大人のいろんなさ、事情とか欲望とか?わかってあげないんだ!
と思ったら、スカッとした。
もう子供じゃなくて、アラフィフだけどね!
「いとみち』に続き、父親役は豊川悦司さんでした。
沖田修一作品は初出演かも?
ちなみに、沖田監督の下記の作品は、アラフィフ女性におすすめ。
おばちゃん愛が炸裂している、下記の2作品が特に素晴らしいです。
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