映画『ドライブ・マイ・カー』を観た。
村上春樹の『女のいない男たち』が原作だという作品。
小説はずいぶん前に読んだけれど内容は忘れてしまっていた。
ただ、とても好きな小説だった記憶がある。
タイトル通り、淋しい話だった気がする。
映画では西島秀俊さんが主演だと聞いて、
ちょっとイメージが違う気がして敬遠していた。
「すごくいいよ」と信頼できる知人が言ってくれなかったら、見逃していたかもしれない。
観てよかった。
とても淋しくて悲しくて辛い映画だった。
救いがあるわけでもなくて、ああ、やっぱり人生は悲しいことばかりなんだなあ、と思わされる映画だ。
けど、希望って、そんなに必要なんだっけ?とも思った。
希望なんかなくたって、これからいいことなんてなんにもないとしたって、
やっぱり人生は続いていって、私たちは、生きて、生きて、生きていくしかない。
個人的な話で言えば、離婚してから10年以上が経っても、私は一人のままだ。
よくお話では、辛い結婚をして離婚したけれど、またいい人と巡り合って幸せな結婚をする、なんていう展開があるけれど、私にはそれは訪れなかった。
あの時、離婚なんてしなければ、いつまでも幸せなふり、そう、ふりだけでもできたかもしれない。
なのに、なんであんなにあっさり手放してしまったのか。
大きなすれ違いがあっても、時間が解決したかもしれない。
もっと彼の苦悩を支えてあげることはできなかったのだろうか。
私はわがままで、いい奥さんじゃなかった。
結婚したのに、生活を変えなかった。
いまだに、というか、年々、後悔は大きくなっているような気さえする。
夫の方は、さっさと再婚したというのに。
とはいえ、未練があるというわけではない。
離婚してから、恋をしなかったわけでもない。
今の気持ちが「後悔」なのか、それも実のところわからない。
理想と違った人生を嘆いている、ということかもしれない。
ただ、もうあまり「希望」はないような気がする。
これから素晴らしいことが起きるとは思えない。
よくいうけれど、もう坂を登り切って、これからは下っていく年齢なのだと思う。
けれど、だからといって人生を放棄してはいない。
下るのは初めての経験だ。
それをしっかり受け止めて、下っていく自分に優しくしながら、やっぱり生きて、生きて、生きていくしかないんだと思う。
そんな風に映画館の帰り道に思った。
そういう映画だった。
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