最近、Youtubeをみていて気になる動画がある。
「発言小町」での婚活相談をまとめた動画だ。
一番多いパターンとしては、アラフォー・アラフィフになっても婚活しており、男性に求める条件が「年収1千万以上」とか「年齢は2歳上まで」とか「専業主婦にしてくれる人」とかで、それはなかなか理想が高いですね、という感じの相談。
最近、そういう相談をYouTubeで動画にまとめ、その相談者がいかに身の程知らずか、ということを断罪したものが目につく。
視聴者は、男性が多いようだ。
こういう動画を観ていて、これって、女性ヘイトなんじゃ?と思うことがある(全部じゃないけど)。
「年収1千万以上が普通」だとか「専業主婦を養うのが男気」などと言われると、男性としては、「何を勝手なことを」「男をATMと思っているのか」「だから女ってやつはしょうもない」と怒りが湧いてくるのだろう。
その気持ちはもちろんわかるのだけど。
けれど、そんな女性を強く非難されるのには、違和感を感じる。
女性を取り巻く社会環境への理解があまりに足りない気がするのだ。
いまアラフィフ、アラフォーの女性は就職氷河期に20代だった人たちだ。
私もそうだが、女子の就職は本当に厳しかった。
学生時代までは男女差別をあまり考えずに過ごしていたとしても、いざ就職となった時、その差は歴然とする。
氷河期に採用をいきなり切られたのは、女子学生だった。
スチュワーデス(今はCAですね)や一般事務といった仕事は軒並み募集がなくなったり、非正規募集に切り替わった。(そもそも補助的な仕事しか女性はさせてもらえてなかったということでもある)。
隣の席に座っていた同級生の男子はそれなりの企業に就職を決めていく中で、女子学生は応募できる数少ない企業に必死で書類を送ったところで門前払い。
仕方なく、非正規や派遣社員となっていった人も多い。
最初から、キャリアを積む道を阻まれてしまった世代なのだ。
だから、アラフォー女性への、「自分はキャリアもないのに」「正社員経験もないのに」といった批判については、世代の事情を考慮してほしいと思う。
また、専業主婦志向についても、この世代はまだ「寿退社」という習慣も残っていたし、保育園の待機児童問題ももっと深刻で、女性が働くためのインフラも整っていなかった背景がある。
母親世代は専業主婦がスタンダードで、兼業主婦は夫の稼ぎが足りない人、というイメージもあっただろう。
専業主婦と子供2人の4人家族を養う夫のイメージは、彼女たちにとって「普通」であることは全く不思議なことではない。
なので、彼女たちの性格が悪いとか、非常識であるという批判は、私は当てはまらないと思う。
ただ、時代が変わった。
時代についていくことができていないだけなのだ。
もう、昭和は終わったんだと、まだ気がつかないでいるだけなのだ。
そして、その時代の流れは、その世代の人たちにとっては激動であったし、ついて行かれなかったからといって責められるものでもないように思う。
だって、「勉強はそこそこで、女の子らしくして結婚するのよ」と育てられたのに、「男の人に頼らずに経済的に自立しないと結婚できませんよ」と成人してから急に方向転換されてもねえ。。。聞いてないよ〜、だ。
しかも、「女の子らしく(家事と育児はしてね)」の部分は相変わらず求められるという理不尽。
(かくして、時代の変化に合わせて自己変革した女性は結婚しなくなったのだった・・・)。
あんまりうまくまとまらなかったけれど、
「身の程知らずの婚活女性」にも背景がある。
彼女たちなりの事情がある。
そのことをわかってもらえたらな、と切に願うのである。
先日亡くなってしまった山本文緒さんの1995年の作品『パイナップルの彼方』。
父親のコネで信用金庫に勤めるOLさんが主人公。昭和女子あるある。
ちょっと前の小説だけど、女性が生きる環境は変わったような変わらないような。。
結婚も仕事も、どれも逃げたくなる切実さ、男の人たちにもわかってほしいとずっと願っているんだけどな・・・(だいたい「甘えてる」で終わるんですよね・・・)。
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